住宅ローン保証料、一括払いと分割払い、どっちがお得?

こんにちは。不動産セレクトの百瀬です。

住宅ローンの保証料について、その支払いには「一括前払い」方式と「分割払い(金利上乗せ)」方式の2通りがありますが、いったいどちらの支払い方法が利用者にとって「お得」なのか、検証してみました。

親父さん

常識的に考えて「一括前払い」のほうがお得な感じがしますな。

モモセ

半分正解、半分不正解といっておきましょう。

親父さん

何やねんそれ!早よ教えてんか!

モモセ

失礼しました。それではご説明させていただきます!

本題に入る前にひとこと。

今回は保証料型の住宅ローンのお話です。保証料が無い事務手数料型や融資手数料型の住宅ローンについては、当てはまらないお話ですのでご注意ください。

保証料について、おさらいです

そもそも保証料とは何のためにあるのでしょうか?

銀行などの金融機関は住宅ローンなどのお金を貸す場合、借りた人(ご契約者)が返済できなくなる万が一を想定して、ご契約者に代わって貸したお金を返済してもらえるように信用保証会社による信用保証をつけます。

この保証をつけるにはそのための費用が必要になりますが、それこそが「保証料」なのです。

ちなみに、このお金を負担するのは住宅ローンを利用するご契約者になります。

保証料の金額はどうやって決まるの?

金融機関やお借入する方(住宅ローンのご契約者)の状況にもよりますが、35年ローンの場合でお借入額100万円ごとに約2万円となることが多いです。

たとえば4000万円を35年ローンでお借入する場合、保証料額は約80万円になります。

結構まとまった金額になるかと思います。

保証料の支払い方法

記事のタイトルにもありますが、保証料の支払い方法は2パターンございます。

1つが「一括前払い」です。

これは、住宅ローンのお借入時に現金一括でお支払いいただく形になります。

この方式をお選びの場合ですと、購入時の諸費用が保証料分必要となりますので、自己資金に余裕がない方にとっては結構大変かなと思います。

そして2つ目が「分割払い(金利上乗せ)」です。

分割払いといっても、住宅ローンと別にお支払いいただくわけではありません。

カッコ書きの中にあるとおり、住宅ローンのお借入金利に一定の利率(+0.2~0.3%)が上乗せされた金利でのご返済が行われることになります。

この方式は、購入時の諸費用を抑えることが可能となりますので、自己資金に余裕がない方や手元に現金を残しておきたい方にとっては良い方法かと思います。

2パターンのメリットとデメリットをそれぞれ示しますと

  • 一括前払いのメリット:
    分割払い(金利上乗せ)より総支払い額が少なくなる可能性が高い
  • 一括前払いのデメリット:
    住宅ローンお借入時にまとまった現金支払いが必要
  • 分割払い(金利上乗せ)のメリット:
    住宅ローンお借入時にまとまった現金支払いが不要
  • 分割払い(金利上乗せ)のデメリット:
    一括前払いより総支払い額が多くなる可能性が高い

シミュレーションしてみました

ここからは具体的な数字を元に2パターンの支払い方法での比較をしてみます。

保証料はりそな銀行での条件を元に計算します。

りそな銀行のサイトによると、35年ローンの場合の保証料が100万円あたり20,614円~30,923円となっていますが、最も良い条件の20,614円を使います。

一括前払いの場合

お借入額:4000万円
お借入期間:35年
お借入金利:0.525%(変動金利)
一括払い保証料:824,560円
返済総額:43,796,208円

総支払額:44,620,768円 = 返済総額 + 一括払い保証料


分割払い(金利上乗せ)の場合

お借入額:4000万円
お借入期間:35年
お借入金利:0.725%(変動金利)= 0.525% + 0.2%(金利上乗せ分)
一括払い保証料:0円
返済総額:45,301,417円

総支払額:45,301,417円 = 返済総額 + 一括払い保証料


2パターンの差額 = 45,301,417円 - 44,620,768円 = 680,649円

総支払額で比較すると、一括前払いのほうが 680,649円 お得になりました。

以上のことから、お借入時に無理してでも保証料は一括前払いしたほうが良さそうとの結果が出ました。

が、ちょっと待ってください!

本当にそうなんですかと!

次章に続きます。

正しい比較をしましょう

お借入額が同じで保証料の支払い方とそれに伴うお借入金利が違うだけと見えますが、正確には一括払いの方は最初に824,560円の保証料を現金で負担しています。

ですので、同じ条件とするには分割払い(金利上乗せ)では保証料の金額分、お借入額を減らさないと同じ条件にはならないと思います。

それでは改めてシミュレーションし直してみます。

分割払い(金利上乗せ)の場合

お借入額:3920万円 = 4000万円 - 一括払い保証料(約80万円とします)
お借入期間:35年
お借入金利:0.725%(変動金利)= 0.525% + 0.2%(金利上乗せ分)
一括払い保証料:0円
返済総額:44,395,389円

総支払額:44,395,389円 = 返済総額 + 一括払い保証料

一括前払いと分割払い(金利上乗せ)の差額
= 44,602,768円 - 44,395,389円 = 207,379円

な、な、なんと分割払い(金利上乗せ)のほうが 207,379円 お得になりました!


分割払い(金利上乗せ)をお選びいただく方は自己資金に不安がある方が多いので、実際にはこのような比較には至らないかとは思いますが、どちらもお選びいただける方であれば、この結果を見てお考えを新たにされても良いのでは?と思います。

最後に

最後に分割払い(金利上乗せ)のメリットを1つ追加したいと思います。

それは、住宅ローンの繰上げ返済をしたり買い替えなどで一括返済した場合についてです。

たとえば、35年ローンを20年で繰り上げ返済したとします。その場合の一括払い保証料は1割ほどしか戻ってきません(りそな銀行の場合)。

金融機関によってその返戻率は異なりますが、どこもそんなには変わらないと思われます。

一方の分割払い(金利上乗せ)ですが、毎月のローン返済で保証料を負担していますので、繰上げだろうが一括だろうが返済してしまえば、その時までの負担となります。

一括前払いよりは割高ですが余分な負担はありませんので、気持ち的に納得感があると思います。

また、お借入時の段階で住み替えや繰上げの可能性がある場合は、保証料については分割払い(金利上乗せ)としたほうが良いように思います。

以上ですが、皆様の住宅ローンご利用のお役に立てれば幸いです。

2020年8月2日お役立ち情報

Posted by 不動産セレクト