不動産の仲介業者を独自の視点で解説します
こんにちは。不動産セレクトの百瀬です。
皆さんが「不動産屋」といわれてイメージする不動産屋さんの多くは「不動産の仲介業者」になります。そして、この「仲介業者」には様々な特徴があり、皆さんがお付き合いすべき「仲介業者」がどこなのか?独自の視点で解説したいと思います。
ちなみに不動産業務を行える宅建免許(宅地建物取引業免許)を取得している業者は、東京都だけでも25,277社もあります。(平成30年度末時点:国土交通省の「平成30年度宅地建物取引業法の施行状況調査結果について」による)
どこも同じだと思っていたけど、違うんですか?
はい、その特徴ごとにご説明させていただきます。
最初に不動産の仲介業者を特徴ごとに分類してみます。
売買と賃貸、その両方
お取り扱いの物件によって大別すると「売買」と「賃貸」の2種類に分けることができます。業者さんの中には売買と賃貸の両方の物件を取り扱っているところもございます。
今回の記事では、主に「売買」の仲介業者さんについて解説したいと思います。
大手業者と地場業者に分けます
大手業者
大手業者の定義に決まりは無いのですが、ここでは次の資料に出てくる業者を「大手業者」と呼ぶことにします。
「2019 不動産業統計集 – 不動産流通推進センター 発行」
また、先の資料から実績トップ業者のデータを一部(2019/3のデータ)抜粋しました。
実績トップ業者(抜粋データ)
実績内容 | 金額・件 |
---|---|
取扱高(百万円) | 1,706,843 |
仲介件数(件) | 41,533 |
手数料収入(百万円) | 85,008 |
店舗数 | 281 |
抜粋データから「1件あたり平均物件価格」「1件あたり平均手数料」「手数料率」を算出します。
1件あたり平均物件価格=取扱高÷仲介件数
1件あたり平均手数料=手数料収入÷仲介件数
手数料率=手数料収入÷取扱高
実績トップ業者(算出データ)
実績内容 | 金額・件 |
---|---|
1件あたり平均物件価格 | 約 4,109万円 |
1件あたり平均手数料 | 約 204万円 |
手数料率 | 約 4.98% |
上記の算出データから見えること、それは
お取り引きの2件に1件が「両手仲介(売主・買主双方から仲介手数料を受領できるお取り引き)」であることです。(平均物件価格での仲介手数料上限額は約139万円です)
大手業者のビジネスモデルは「売主様よりお預りした物件を自社で見つけたお客様に購入していただく=両手仲介を基本としている」ことからも、それを裏付ける結果となりました。
両手仲介を基本としていても半分は「片手仲介(売主・買主の一方からのみ仲介手数料を受領できるお取り引き)」ですが、恐らくその大半は「売主様」側の仲介によるもので購入だけの仲介の割合はあまり高くないと思われます。
地場業者
ここに分類される業者は簡単にいいますと大手業者ではない業者を指します。
具体的には次のような業者です。
- 地元(特定のエリア)で数店舗展開している業者
- フランチャイズ(センチュリー21など)加盟の業者
- その他、1社のみ数人規模の業者(当社はここに分類されます)
フランチャイズ加盟の業者は一見すると大手っぽいですが、実はそのほとんどが独立経営の別会社です。
テレビCMでよく見るフランチャイズですとお客様の覚えも良いので、大手並みとはいいませんがそれなりの看板力が発揮されてお客様からの印象も良い感じです。
ただし、何度もいいますが独立経営の別会社ですので、非加盟の地場業者と基本的には同じです。
特徴
メインの依頼
大手業者は「売却依頼」が多い
テレビCMなど、認知度が高いことを最大限に生かして多くの売却依頼を得ます。そして自社顧客にご購入いただく、いわゆる両手仲介を行うことが社内における最大の評価になります。
あくまで売却依頼物件のお取り引きがメインで、購入依頼業務の優先順位は低いのではないかと思えます。(ただし、契約が近いホット客については別)
地場業者は、大手業者と異なり「購入依頼」が多い
地場業者には大手業者のような看板力はありませんので、大手業者にくらべて圧倒的に売却依頼が少ないのです。
そのためレインズに登録されている物件情報をインターネットのサイト(スーモなどのポータルサイトや自社ホームページ)や紙媒体に広告して、お客さんからのお問い合わせを待ちます。
営業マンの宅建士資格保有率
大手業者の営業マンは、ほぼ全員この資格を持っています。
以前は会社ホームページのスタッフ紹介などのページを見れば、保有資格の有無が確認できていましたが、最近は確認できない会社も増えてきました。何かあったのでしょうか?
一方の地場業者ですが、宅建士資格の保有率は低めです。
不動産業者としては社員5人に対し1人、宅建士資格を持っていれば宅建業法上は問題がないため、本当の保有率もそれと同じが良くて半分ぐらいな感じでしょうか。
お客様の立場だと宅建士資格を持っていない営業マンは不安かもしれないね?
それが全てではないにしても、相談相手としては物足りないかもです。
コンプライアンス(法令遵守)
大手業者の意識は高い
社内のチェック項目も多く、契約書類等の内容を見ても「その文言必要か?」と思えるほどの内容になっていることが多いです。
業務のほとんどを「無事にお取り引きが終了すること」に注力している感じです。
地場業者の意識は低いところが多い
社内チェックは大手と比べるとシステム化されていないところが多いです。
営業マン個人の力量に依存するところがありますので、あまり慣れていない担当だと中古一戸建てや土地のお取り引きでは不安が残るかもしれません。
新築一戸建てなどの建売物件の場合は大きなトラブルになることは少ないので「お取り引きの無事完了」より「契約優先な対応」が多いかもしれません。
仲介手数料の割引き・値引き
大手業者は基本的に応じてくれることはまずございません
テレビCMなどの広告宣伝費や好立地の立派な店舗、大勢いるスタッフの人件費など、多くの経費が必要となるため唯一の売上である仲介手数料の割引き・値引きには応じたくても応じることができないのです。
地場業者は交渉の余地あり
当社のように「仲介手数料無料」を謳っている業者はもちろんのこと、事前にお話をすることで応じてくれる業者はあると思います。
ただし、契約が済んだ後や、いざ仲介手数料をお支払いする段階で値下げ交渉をすることはマナー違反となりますので、ご注意ください。
業者といえども同じ人間ですので、お互いに尊重し合って気持ち良くお取り引きをしていただくことが重要かと思います。
その他サービス
ここは大手業者・地場業者とか関係なく、業者個別で通常の仲介業務以外にお客様にとって有用なサービスがあるか確認することが大切です。
また、お客様のニーズに合ったサービスを提供している業者を選ぶことが、不動産取引を成功させる(納得のいく)ポイントとなります。
たとえば、金銭面でのお得なサービスとして上げられるのは「仲介手数料無料」や「キャッシュバック」のサービスです。
建物についての不安を解消するには、建物検査のサービスなどがあります。
他にも購入物件の設備の保証サービスなどを行う業者さんが増えている印象がございます。
ニーズ別の業者選び
1.中古物件を購入して、そのまま使用
物件を直接お預りしている可能性の高い大手業者をお選びいただくのが良いかと思われます。
理由は色々ございますが、例えば人気エリアで条件が良い物件の場合、一番最初にその物件情報を目にすることができるのは物件を預っている業者のお客様です。
売主のお客様から売却依頼を受けるのは圧倒的に大手業者が多いですので、購入目的の物件が「中古物件」である限り、大手業者を避けて通るのは機会損失になるかと思います。
また、物件情報の流れ方は大手とか地場とかに関係なく
①自社のお客様 → ②自社の広告媒体でのお問い合わせ客 → ③他業者経由のお客様
の順番が一般的ですので、購入依頼メインの地場業者からの情報では時既に遅しとなりかねません。
2.中古物件を購入し、リフォーム
このパターンも基本的には1と同じく大手業者に軍配が上がりますが、地場業者の中にはリフォーム工事ができる業者さんもいますので、競争率が高くないエリアの物件などであれば、そのような地場業者をご利用いただくのが良いかもしれません。
3.リフォーム済み中古物件を購入
この場合、売主は不動産業者であることが多いので、当社のような仲介手数料無料の業者をご利用いただくのが、金銭的にお得となります。
ただし、リフォーム済みとはいっても元の物件の築年数などにより、表面的な部分以外の改修がなされているか、また施工不良はないか確認することができる業者、または検査業者をご紹介できる業者をお選びいただくのが良い選択と思います。
4.建売の新築一戸建てを購入
先の3と同様に、売主は不動産業者であることが多いので、当社のような仲介手数料無料の業者をご利用いただくのが、金銭的にお得となります。
また、金銭的な理由以外でも建物の施工不良などのハズレ物件を避けるため、やはり建物検査を行うなどのサービスがあると安心してご購入いただけると思います。
新築物件の場合は中古物件ほど致命的なトラブルに見舞われることはあまりございませんので、建物検査についても基本的な事項で事足りるかと思いますが、ご心配な方は有料にはなりますが検査の専門業者をご紹介することも可能です。
まとめ
仲介業者の常套句として「ほとんどの物件はどの業者でも等しくご紹介することができますので、当社だけとお付き合いいただくだけで問題ありません」といいます。
大筋ではその通りなのですが、物件情報の流れが「①自社のお客様 → ②自社の広告媒体でのお問い合わせ客 → ③他業者経由のお客様」である限り、やはり一つの業者だけとのお付き合いでは機会損失の可能性は否めません。
私もできればお客様を囲い込みたいのですが、「お客様が一番良いと思える物件をご購入いただきたい」との思いがございますので、当社を含め、あと大手業者(および地場業者)の合計2~3業者とお付き合いください。
最終的な物件のご選択が売主業者物件であった場合は当社が仲介をさせていただきますし、一般売主の中古物件であった場合はどうぞ大手業者の仲介でご購入いただければ良いと思っています。
最終目的は何度もいいますが、「お客様が一番良いと思える物件をご購入いただきたい」その思いだけです。
(でも、当社で仲介させていただけたら一番嬉しいです!)
以上、長文でしたが最後までお読みいただき、ありがとうございます。