仲介手数料無料 + キャッシュバック について
こんにちは。不動産セレクトの百瀬です。
今回は「仲介手数料無料」と「キャッシュバック」という2つのキーワードを含むサービスについて、独自の視点で解説したいと思います。
仲介手数料無料のうえに、キャッシュバックまでもらえるなんて、そんな夢のような話があるんですか?
夢のようかは別として、現実にそんなサービスを行っている業者さんがいるみたいです 。
あやしくないんですか?
そのへんも含めて解説させていただきます。
仲介手数料無料について、おさらいです
仲介手数料を無料とするには一定の条件を満たす必要があります。
簡単にご説明すると「売主様・買主様双方より仲介手数料をいただけるお取引きにおいて、買主様よりいただける仲介手数料を無料とする」です。
つまり、仲介手数料無料業者は売主様よりいただく仲介手数料だけを売上としてやっているということです。
図でいうと↓こんな感じになります。
上図の真中にもう1社仲介業者さんが入ったり、そもそも売主様より仲介手数料がいただけなかったりした場合は、仲介手数料無料の仕組みは破綻いたします。
キャッシュバックとは?
いきなり本題です。まずは下図をご覧ください。
キャッシュバック業者にも色々なパターンがありますが、ここでは売主様よりいただく仲介手数料の半分をキャッシュバックと称して買主様に差し上げる業者で解説をすすめて参ります。
キャッシュバックの金額については具体的な数字を示したほうが分かりやすいと思いますので、以下に例を示します。
<4100万円(税込)の新築一戸建てを購入したケース>
物件価格の内訳を次の通りとします:
建物価格(税抜)=1000万円
消費税額(税率10%)=100万円
土地価格(非課税)=3000万円
売主様(不動産業者の場合)からの仲介手数料額
=物件価格(税抜)×3%=4000万円×3%=120万円(税込)
キャッシュバックの金額
=売主様からの仲介手数料額÷2=120万円÷2=60万円
上記のケースでは、仲介手数料が無料となったうえに60万円の現金を仲介業者からもらえることになります。
お客様にとって本当に良いシステムか?
現金がもらえるという金銭的メリットは確かにあると言わざるを得ません。
ただし、次のような点を注意していただく必要があるかと思います。
キャッシュバックの使いみちが限定されていないか?
たとえばキャッシュバックの現金は諸費用の一部(登記費用や火災保険料など)に充当するなど、使いみちが限定されていませんか?
この場合のキャッシュバックは景品表示法の「景品」という扱いになりますので、キャッシュバックの上限額は仲介手数料の法定上限額(物件価格の3%+6万円+消費税額)の10分の1または100万円のいずれか低い金額となります。
違反している業者はいずれ処分の対象となりますが、すでにもらってしまったキャッシュバック金額について、お客様が処分の対象になることはないかと思います。
ただし、後々仲介業者と返金等のトラブルになるかもしれませんので、その点はご注意ください。
キャッシュバックについて、口約束だけではないか?
不動産の契約を締結する前に、キャッシュバックの金額について、ちゃんと書面を交わしているか確認しましょう。
簡単な方法では媒介契約書の特約に記載する、または別途覚書などで対応するなど、その方法については事前にキャッシュバック業者に確認するのが良いでしょう。
とにかく口約束だけは絶対にNGです。
後々トラブルの温床となりますので、ご注意ください。
キャッシュバックがもらえるタイミングは?
キャッシュバックについて書面を交わすようにとお伝えしていましたが、どのタイミングで支払われるか、この点も書面で確認するようにしましょう。
売主様からの仲介手数料の半分を差し上げるということから考えると、お引渡しの日以降になりそうですが、たとえばキャッシュバック分を諸費用の一部に充当しようとお考えの場合は、少なくともお引渡しまでに支払ってもらわないといけません。
お引渡し・決済の当日にお金が足りなくなることは、一番あってはならないことですので、問題にならないようご注意ください。
確定申告についての説明はあるか?
キャッシュバック等で得た金額(収入)は、一般的に「一時所得」といわれています。
この一時所得には50万円の特別控除があったり、所得額が控除後の金額の2分の1になったりしますのでキャッシュバックの金額によっては、ほとんど税金が掛からない状態になります。
ただし、申告そのものが免除されるわけではございませんので、サラリーマン等の給与所得者であっても確定申告が必要になります。
慣れている人にとっては大したことはありませんが、慣れていない人にとっては結構面倒お手続きになります。
申告するのかしないのかなどについては当事者であるお客様のご判断となりますが、仮に申告されずに問題となった場合の責任はお客様がすべて負うことになりますのでご注意ください。
いずれにしましても、確定申告に関するご説明は業者からあってしかるべきと考えます。
販売価格の値引きとの比較
「公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会」という「不動産広告のルール」や「景品提供のルール」を運用するために設立された不動産業界の自主規制機関があります。
この機関の見解ではキャッシュバックは「正常な商慣習における値引き」という位置づけとのことでした。
私の個人的な考えでは、同じ値引きであればキャッシュバックという形で現金をもらうより、物件の販売価格そのものを値引きしてもらったほうが、購入者にとってはメリットがあると思っています。
それは値引きの分だけ住宅ローンのお借入が少なくなりますので、住宅ローンの総支払い額も変わってきます。
もちろん、キャッシュバックと値引きの両方を得られるのであれば、それが一番金銭的なメリットにつながるのですが・・・はたしてそんなに上手くいくのでしょうか?
売買仲介の業務
購入申し込み編
お客様のご購入の意思が固まったら購入申し込みを行います。
これは口頭で済ませられるものではなく、書面にて売主様にその意思をお伝えするものになります。法的な拘束力はございませんが、軽々になされるものではございませんので、慎重に考えてから行うようにしてください。
購入申込書には購入する上での条件面や買主様の状況等についての記載がございます。値引きをご希望の場合には、この書面の条件に入れることになります。
売主様はこの申込書の内容を見て売り渡すか否か判断することになります。
値引き交渉編
値引きのみならず交渉事は「仲介業者」が買主様の代理人として行うことになります。
買主様が直接、売主様と交渉することはできず、すべてを仲介業者にゆだねることになります。
仲介業者はすごく大事なことを任されるのです。とても責任重大です。
ですので、お客様の信頼を裏切らないよう一生懸命、それこそ自分のことのようにがんばって交渉を成功させようとします。
それでも値引き交渉は直接お金にかかわることですから、そう簡単にはいきません。
売主様(ここでは不動産業者を想定)も商売でやっていますから、少しでも高く売りたいのです。そして、買主様は少しでも安く買いたいのです。
利害が相反している両者を納得させるのは本当に難しいことです。
仲介業者は契約が成立して、初めて報酬(仲介手数料)をいただける権利を得ます。
お客様から依頼を受けて購入申し込みを行い、値引きも含めた交渉ごとをまとめ、契約が成立し(その後住宅ローン解約もなく)、無事お引渡し・決済が済んで、やっと報酬(仲介手数料)をいただくことができます。
ここで仲介業者に悪魔がささやきます「値引き交渉を持ちかけたら、このお話をまとめることができなくなるかもしれない。だから満額(売値のまま)で話をまとめてしまえ!」と。
買主様には「やはり値引きは難しかったです。ただ、キャッシュバックがあるので仲介手数料無料だけの業者よりはお安く購入することができています」と。
売主の業者も値引きなくそのまま買ってくれるお客さんからのお申し込み、かつ住宅ローンの問題もなさそうであれば、契約に向けてお話がまとまることでしょう。
ん?でもこれって何かおかしくないですか???
これは極端なたとえですが、お客様から見ての交渉事はブラックボックスで何が行われているか分かりようがありませんので、このようなうがった見方もありますよ、ということで書いてみました。
値引き交渉のノウハウ
ホームページなど不特定多数の方が見る可能性のある場では表現しづらいのですが、当社代表の百瀬はこの値引き交渉についてかなり自信がございます。
あまり断定的な表現は差し控えますが、ある程度の値引き額を保証できるような感じのサービスを模索しております。
詳しくは個別にお問い合わせいただけると明確にお伝えできることがあるかと存じますので、ご興味のある方は是非、ご連絡をいただけると幸いです。
最後に
住宅購入における金銭的なメリットについて金額が確定しているものは、今のところ次の3つでしょうか。
- 仲介手数料
- キャッシュバック
- 融資手続き代行費
金額が不確定な要素といたしましては
- 住宅ローンの選定(金利や保証料額による)
- 物件について値引きの有無
があると思います。
キャッシュバック業者の中には少しでもお客様のためにということで、このようなサービスを行っているところもあるかと思います。
しかし、会社組織たるものある程度の利益は追及すべきですし、広義においてはその利益を社会に還元すべき存在でもあります。
当社もお客様のためという点では同じかと思いますが、キャッシュバック行為はさすがに過剰サービスではないかと思っております。当社では住宅ローンの選定やFP相談、値引き交渉など別の方法でお客様や社会に貢献できればと考えております。
お客様におかれましては、目先の現金に左右されることなく、総合的なご判断をいただけるよう、今後も様々な情報発信をさせていただければと考えております。
以上でございますが、最後までお読みいただきありがとうございました。